久々に小説を読みました。 学生時代は推理小説ばかり読んでいたのですが、 フィリップ・K・ディックの「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」を読んで、 SF小説を読んでみる気になりました。
今回読んだ本は「ネクサス」というSF小説です。 脳対脳通信を可能にするネクサスというドラッグを巡り、 それを研究する学生が、 ネクサスを規制しようとするアメリカ政府、 ネクサスを利用とするタイ、中国政府などの陰謀に巻き込まれていくというストーリーです。
ストーリーの中でキーワードとして出てくるのが「ポストヒューマン」です。 脳対脳通信や感情の共有、マインドコントロールができる人間が 果たして"ヒト"と言えるのかという問いが投げかけられているように感じます。
日本人の自分からすると、 この話で出てくる内容は「攻殻機動隊」の世界では普通に使われている技術なのですが、 そもそもそれが出来てしまった時点で"ヒト"ではないのではないかという訳ですね。
以前、ハリウッド映画でも似たようなものがありました。 ジョニー・デップ主演の「トランセンデンス」では人間の意識をインターネットにアップロードした結果、 それが元々のアップロードされた本人の意識なのか、 もはや別のものなのかという疑問が提示されてました。
有名なクラークの3原則に、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」とあります。 この作品で出てくるような技術が実用化される日はいつか来るのかもしれませんが、 実現するまでには様々な思想間の対立は起こり得るということですね。 エンジニアの立場としては、 このような話は非常にワクワクさせられるのですが、 意思や感情の伝達の前にロボット義手など、 「攻殻機動隊」で言うところの義体の技術展開が先に来るでしょうね。
最後に、この本の私のオススメ度は ★★★★☆ です。