LIFE Cook

人生を豊かにするために(料理ブログではありません)

医者に〇されかけた話

はじめに

今年、自分に実際に起こった出来事で、医者との向き合い方を改めて考えさせられた話になります。

実は、去年に胃腸を悪くしてしまい、それ以来、症状を抑える薬を飲んでいます。幸い、胃腸の方は問題なく正常を維持しているのですが、薬を飲み始めて2カ月後に受けた人間ドックで心臓の不整脈が見つかりました。

そこで主治医に相談して循環器内科を受診したところ、いきなり心臓手術を勧められ、かなり戸惑いました。

結果的に、心臓手術は全く必要ないことが分かったのですが、そこに至るまでの経緯を記しておこうと思います。

いきさつ

最初の違和感

今思えば、最初に感じた違和感が功を奏したと言えます。 循環器内科を受診し、不整脈の具合を確認するため、ポータル心電図によって24時間の心拍状況をモニタリングしました。

ポータル心電図の結果で最初に言われたのは、「心臓が2秒以上止まっているタイミングが1日のうちに2万回以上起こっている」でした。

この半年後、再びポータル心電図をしたのですが、症状はよけいに悪くなっていました。1日の不整脈の回数は5万回ぐらいに増えていたと思います。

当初から言われていたのは、"カテーテルアブレーション"が必要かもしれないということです。

カテーテルアブレーションとは、足の付け根あたりからカテーテルと呼ばれる電熱線がついた医療器具を心臓まで挿入していって、問題のある部位を焼きつぶす手術です。

カテーテル手術の同意書

心臓の部位に直接処置をするので、心臓手術ということになります。もちろんリスクもあって、全く改善しなかったり、余計に不整脈がひどくなる場合や、手術中に問題が起こって心臓外科のICUに運び込まれることもあり得ます。

不整脈に関しては、多少自覚症状はあったものの、生活に支障は出ていなかったので、これには面喰いました。そこにやたらと心臓手術を勧めてくるので、「何かおかしくないか?」という漠然とした違和感を感じていました。

ちなみにこの時の担当の医師からは、「次に来るときはご家族にも同席してもらって...」とまで言われました。余命いくばくかを宣告されるときのお決まりのセリフです。

セカンドオピニオン

いろいろ悩んだ末、不整脈の専門医に相談してみることにしました。とは言っても、誰に相談すればいいか分かりませんし、紹介状もありません。 そこで、不整脈に関する本を購入してみました。

-動悸・ドキン・胸のつまり感・息切れ・めまい- 不整脈 脈飛び 頻脈・徐脈 期外収縮 心房細動 最新最強脈正し自力克服大全 (健康実用)

最初は医学的治療を用いずに何とか改善できないかと思って選んだ1冊でした。この本に寄稿している医師で、近場に医院を運営している方に予約を入れて、相談してみました。

相談してみたところ、その医師はなんといっぱつで、胃腸の治療に飲んでいる薬の副作用ではないかと指摘してくれました。

調査

セカンドオピニオンの結果を受けて、自分が飲んでいる薬の副作用について調べてみました。今では医薬品の情報はインターネットで簡単に調べることができます。

医療用医薬品 : リアルダ (リアルダ錠1200mg)

不整脈とは明確に書かれていないものの、以下のような記述を見つけました。

胸部痛、心電図異常、胸水等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

また、Ask Doctorというオンラインで医師に病状を相談できるサービスでは、私と同じくリアルダという薬を服用して、動悸が激しくなったと言っている人も確認しました。

主治医の対応

自分が見つけたウェブサイトの資料をコピーして、主治医に別の薬に変えてみたいと相談しました。 正直ここでごねられたら、病院を変えるつもりでしたが、

  • 不整脈が見つかったのが、薬を飲み始めてまもなくであったこと
  • それまで、不整脈を疑われたことなどなかったこと
  • 私が持って行った資料に書かれた副作用の情報

これらを根拠にすんなり薬を変えてくれました。

この2か月後に受けた人間ドックでは、不整脈は確認されませんでした。

不整脈を診断した医師の対応

再びポータル心電図を行い、循環器内科の医師からその結果の説明を受けました。 結果、不整脈はほとんどなくなっていました。

私が、「服用していた薬の副作用の可能性があり、別の薬に変えた」という旨を説明したところ、

「あれだけあった不整脈がほとんどゼロになったということは、薬の副作用で間違いないですね」

と言っていました。

しかし内心では、「心臓手術をあれだけ推していたやつが何言ってるんだ!?」と穏やかではありませんでした。

検証

薬の副作用に気づけない主治医

まず愕然としたのが、私の主治医の薬や情報に対するリテラシーの低さです。

私が服用している薬の副作用の可能性があることを、胃腸の方の主治医に相談したとき、その医師は書棚から"薬の百科事典"のような古臭い本を1冊取り出して、副作用の欄に目を通しました。 そして、

「心筋炎や心膜炎は書いてあるけど、不整脈なんて一言も書いてないよー」

と言っていました。

しかし、仮にも心臓に何かしらの副作用が起こりうる薬を処方しているのですから、そこに考えが及ばない時点で医師として力量不足ではないでしょうか。

ちなみに、私が見つけた薬の情報は「リアルダ(薬名) 副作用」でgoogle検索すれば上位1~3件にヒットします。この程度の情報にもアクセスできていない医師に不安を感じずにはいられませんでした。

心臓手術の実績が欲しかった?

私が通っていた病院は、2021年に不整脈専門の部門を立ち上げていたことが分かりました。 実際、手術の説明を受けた時にも、最新の機材が揃っていることを強調されました。

カテーテル手術は比較的安全な手術ではあるようですが、それでも患者視点では、実績のある病院に任せたいものです。

また他の医療関係者からは、心房細動という症状が無い限り、カテーテル手術は必要ないという意見も聞きました。担当の医師からは心房細動の説明がほとんど無かったです。

今回あまりにも手術を勧められたので、手術実績が欲しかったのではないかと勘繰らずにはいられませんでした。

医師の経済事情

セカンドオピニオンを求めた医師に、手術をやたら勧められていることを言ったところ、次のようにおっしゃっていました。

「大きな病院では、薬出して、手術しないとお金にならない」

また、知り合いの医療関係者に今回の件について話したところ、こうおっしゃっていました。

「医師は病院から、とにかく病床を空けるなと言われている」

確かに、自分も会社勤務をしていて、お金が大事なのは分かっているのですが、そのためにモルモットにされるのは言語道断です。

希少なケースだった?

ここまで医師に対して批判的な内容を書いてきたが、医師に対して同情できる部分はあります。

実際、私が行っている病院では、いつも外来患者が待合室で列をなしています。医師からしても、一人ひとりの患者の病状から処方している薬の副作用までを細かく把握することは不可能でしょう。

また、私が調べた範囲では、明確に副作用として不整脈と記載された資料はほとんど見つかりませんでした。 私自身もここまで重大な薬の副作用を経験したことは無かったため、気づくのに遅れてしまいました。医師からしても希少なケースだったのかもしれません。

医師との向き合い方

病院を変えるか?

今回のことを受けて、病院を変えようかとも考えましたが、思いとどまりました。この記事で病院名を公にするつもりもありません。

そう考えるに至ったのは、医師が生活習慣病に対応するには限界があることを思い知ったからです。

感染症ならウイルスや病原菌を除去することで治せます。たとえ、それが難しかったとしても、ウイルスを殺すことができれば治るはずです。

しかし、生活習慣病はそうもいきません。生活習慣病の原因は患者の生活習慣や体質です。これらを治せるのは医師ではなく患者自身です。

医師からすれば、患者個々人のそういった状況を細かく把握することは不可能でしょう。 特に総合病院の医師は、医療の専門家ではありますが、個々の病気の専門家でもないし、薬の専門家でもありません。いわばジェネラリストだということです。

今後の医師との付き合い方

重要なのは、それを前提として医師の言葉を過信しないことです。

とりわけ生活習慣病にかかってしまった場合、医師任せにするのではなく、自身で病気について情報収集し、自分に合った治療法を模索する必要があります。