LIFE Cook

人生を豊かにするために(料理ブログではありません)

「AWS認定Solutions Architect - Professional」だけ取った

はじめに

AWS 12冠」ではなく、AWS Solution Architect - Professional (AWS SAP)の資格だけ取った。

自分はこれまで資格取得にはあまり力を入れてこなかったし、 難関資格を取得したのは初めての経験だ。

そのため、「1カ月勉強して合格しました!」というような華々しい結果でもない。 しかも一度、不合格を食らっている。 AWS SAPの勉強だけやってたわけではないが、かなりの時間を費やしてしまった。

そういう自戒の念も込めて、今回学んだことを記事にまとめておこうと思う。

なぜ資格を取ろうと思ったのか

元々、資格に興味が無かったのは最初に入社した会社の影響だ。

新卒で入社した某家電メーカーでは、資格の保持などに全く興味がない会社だった。 「勉強するより手を動かせ!」的な体育会系であったこともあるが、資格を持っていなくても凄いエンジニアがゴロゴロいたので、 自分も資格を取ろうとは思い至らなかった。

しかし、初めて転職してその見方はガラリと変わることになる。

2社目の某自動車部品メーカーでは、AWSの導入に力を入れていて、 AWS資格を持っている人が重宝された。

凄腕エンジニアだった私の上司もAWS SAPを持っていたし、 AWS12冠を達成していた同僚はAmazonに転職していった。 世のサラリーマン達がいかに資格の取得に頑張っているかを思い知らされた。

という訳で、周りに影響されてばかりなのだが、自分も一つぐらい資格を取ろうと思った次第である。

AWS SAPを選んだのは次の理由からだ。

  • 既にAWSを使った開発経験が4年ほどあった
  • インフラやバックエンドの苦手意識を克服するため
  • AWSの全サービスを網羅する勉強をしておけば、たいていのWebサービスは作れるだろうと思ったため
  • ずっとソフトウェアエンジニアというキャリアを続けてきたため、アーキテクトという肩書が欲しかった(笑)
  • 高収入への期待
  • www.itmedia.co.jp

    資格と給与の関係では、「Google Cloud Certified Professional Cloud Architect」や「AWS Certified Solutions Architect - Professional」など、アーキテクト関連が上位になっているところが目立ちます。

    失敗談

    成功体験の話より、失敗の経験の方が価値があるという。 まずは、失敗談を書いておこう。

    Practitioner/Associateから取得するべきだった?

    AWSの資格にはレベルがあり、 Solution Architectに関して言えば、 下位レベルの資格としてCloud Practitioner, Solution Architect Associate(SAA)がある。

    https://digitalidentity.co.jp/blog/wp/wp-content/uploads/2020/07/image1.png 引用元:AWS認定公式

    おそらく、AWSの資格はこの下位レベルの資格から順に取っていくように設計されている。 しかし、既にAWSでの開発経験があったこと、 たくさん資格を取ることに前向きではなかったこと、 試験費用と勉強時間をケチりたかったなどの理由で、 これらをすっ飛ばしていきなりSAPに挑戦してしまった。

    その結果、一度不合格を経験し、いろいろあって資格取得まで1年ほど時間がかかってしまった。

    実際に受けていないので何とも言えないが、 SAAぐらいは取っておいた方がスムーズにSAPも取れたのではないかと予想している。

    まさに急がば回れということだ。

    模試を解くだけでは非効率

    事前にSAPの勉強法を調べたのだが、 多くの合格者が模試を解きまくることを推奨している。 AWS資格以外でもよく過去問をいきなり解くことを勧めている話もよく聞く。

    qiita.com

    私の場合もUdemy BusinessのAWS SAP模試をひたすら解いていた。

    しかし、AWS SAPは問題数75問、試験時間3時間にもなる難関試験だ。 模試も同じ構成で作られており、途中停止はできるものの、毎回同じぐらいの時間がかかってしまう。 75問解いてから答え合わせになるが、その頃には最初の問題や気になった箇所など忘れてしまっている。 全問を解くのも大変だが、75問分の回答を読み続けるのも脳みそがパンクする勢いだ。

    結果的に不合格を経験し、勉強法も再考することになった。

    AWS SAPの勉強法

    実際に合格に至ったことで、効果があったと思われる方法をまとめておく。

    教材

    AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWSソリューションアーキテクト - プロフェッショナル 改定第2版』

    まず挙げるのは、『AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWSソリューションアーキテクト - プロフェッショナル 改定第2版』だ。 特に良かったのは、ネットワークの説明が秀逸だったこと。

    dev.classmethod.jp

    どの分野なのかを分類して、苦手分野がどこかを特定して、そこだけを集中してやるようにしました。これで、私はネットワークがとても苦手だとわかりました。

    SAP合格者の多くがネットワーク周りの問題が苦手だったと呻いていたが、自分も例外ではなかった。

    この本にはネットワークの章があり、 図解でAWSのネットワーク系サービスの構成要素が分かりやすくまとまっていた。 自分はこの章を5、6回読んで、完璧に内容を頭に入れた。

    それ以外にも個人的には以下の点が良かった。 この本無くして合格はできなかったと思う。

    • 新テスト形式のSAP-C02に対応している

    • SAP試験範囲の全サービスについての説明がある

    • 図解を用いた分かりやすい解説

    AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説~』

    2冊目の『AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説~』は電子書籍で購入した。

    1冊目に挙げた参考書に比べてSAP試験特有の嫌らしい問題、 つまりは読解力が試され、複数の解釈ができるような表現やひっかけがある問題が多いように思えた。

    特に良かったのが、一問一答形式で問題が掲載されているところ。 これについては後述するが、隙間時間にスマホで勉強するのに最適の1冊だった。

    Udemy Business: AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル模擬試験問題集

    最後は、Udemy Businessの講座なのだが、もうこの講座は無くなったらしい。 当時所属していた会社がUdemy Businessを契約していたおかげで、無料で受けることができたので、 仕事の合間にちょくちょくやっていた。

    既に書いたように1回75問の問題を解かなければならないので、 これだけだと非効率だ。

    ただし、SAPの試験範囲は恐ろしく広く、 既に書いた2冊の参考書でも全てをカバーしているとは言えない。 (実際、試験では上の2冊ではほとんど出てこなかったDataSyncがよく登場した。)

    そのため、どういう問題が出るのか、何を問われるのかといった問題の雰囲気を捉えるのには役立つだろう。

    今なら通常のUdemy講座でもSAP試験対策の講座があるようだし、 自分が調べた中では CloudLicense(旧TeckStock)での対策コースが充実しているらしい。

    cloud-license.com

    通勤電車で一問一答

    Udemyの講座はスマホでも見れるのだが、これが見やすくは無かった。 小さい画面では問題文が読みづらいし、何より75問もあるせいで問題のロードに時間がかかりすぎた。

    そこで活躍したのが、 電子書籍で購入していた『AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説~』だった。

    この本はサンプル問題をベースに説明を展開していく構成になっていて、 最後の模試以外は一問一答形式で問題と回答が並んでいる。

    これが電車の中や会社の昼休みに手を付けるのにちょうどよかった。

    TOEICの記事にも書いたが、 社会人が勉強するには隙間時間を如何に上手く活用できるかがカギになる。

    trycycler.hatenablog.com

    今回の経験でもそれを思い知った。

    なんだかんだでノートに回帰

    最初はUdemyの模擬試験で問題をひたすら解いて、 分からなかったところをOneNoteにまとめていった。

    しかしSAP試験では、試験範囲の広さもさることながら、 各種AWSサービスの細かい設定なども問われることもあり、 難しくしようと思えばいくらでも難しくできるような問題内容である。

    そのためか(あるいは年齢で記憶力が落ちたためか...)、 模擬試験を何周しても、毎回間違える問題や覚えられない項目があり、 合格できる兆しがなかなか見えなかった。

    そんなとき、記憶力アップのための秘訣についての記事からヒントを得て始めたのが、 紙のノートを使った学習である。

    人間が知識を定着させる一番の方法は「復習」らしい。 そこで、毎日新しく学んだことや気になったことをノートに書いて、 次の日には前日の記載内容を見てから試験対策を始めるようにした。

    正直、ノートをまともにつけたのは学生の時以来だが、 学生の頃と違う点がある。 それは長期保存するための記憶媒体としてではなく、 あくまで次の日に復習するためだけの短期記憶媒体としてノートを使ったことだ。

    お世辞にもきれいに書いてるとは言えない

    次の日に見るためだけに書いているので、 きれいにまとめる必要もない。

    これだけならOneNoteやNotionといったノートアプリを使ってもできるが、 システム構成図などをラフに書ける手書きならではのメリットからも紙のノートが最適だった。

    速読のコツはアーキテクチャをイメージすること

    初めてSAP試験を受けて不合格になったとき、 最後まで解き切ることができなかった。

    3時間で75問なので、1問あたり2.4分で解かなければならない。 しかし、問題文が異常に長いものや細かいシステム要件が散りばめられた文章の読みづらさから、 これが意外と難しい。

    これをすばやく読めるようにするには、 読みながら頭の中でアーキテクチャをイメージできるようにならなければならない。

    特にこれをすればできるようになるというものはないのだが、 問題文を読みながらアーキテクチャをイメージできるようになってきたら本試験に臨む頃合いだろう。

    おわりに

    今回、SAP取得するまで時間はかかってしまったが、 自分なりの勉強方法を見つけられたことは良かったと思う。 資格ではなくても今後何かの役には立つだろう。

    それに時は金なりなのだが、 試験勉強にほとんど費用をかかっていないのは良い点だろう。 Udemyは会社で契約したものだったし、不合格を食らった試験費用も会社の福利厚生で何とかなった。 ここで紹介した教材以外だと、無料のサンプル問題などをちょこっと触ったぐらいだ。

    資格を取った効果については、 やはりAWSを使ったシステムアーキテクチャの理解度は上がったと思う。 普段使わないサービスの知識まで知見が広がったのが大きい。 外道父さんのAWS関連の記事などをよく読むが、 「あー、あのことを言ってるな」と解像度高く読めるようになった。

    blog.father.gedow.net

    ただし、「AWS12冠」を取る気はないかな... BigData SpecialityやMachine Learning Specialityあたりは興味あるが、 本当に必要になったらでいいと思っている。 SAPでさえも、オンプレミスからAWSへの移行に関する問題は頻出だが、 それを使う機会が来るかどうかは疑問である。

    エンジニア界隈ではコンピュータサイエンスの学位を取りに、 大学に入り直す人もいる。 自分はそこまで学術肌でもないし、そこに時間とお金をかける覚悟は無い。 でも仕事をやっていて、理論や知識不足を感じるときはあって、 そういうのをインスタントに補う手段として資格取得も悪くないなと思えた。