LIFE Cook

人生を豊かにするために(料理ブログではありません)

レファレンス・チェックはやめてほしい

はじめに

日本の製造業にてソフトウェアエンジニアとして働いて10年あまり。今年そこから脱出して、晴れて外資系企業で働くことになった。

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その過程で、個人的には面接より厄介だったことがあった。

レファレンス・チェックである。

レファレンス・チェックとは

レファレンス・チェックとは、企業の応募者について、その人をよく知る第三者にインタビューして、 第三者視点によるその人の人となりや過去の仕事への取り組み方などを確認するプロセスだ。

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要は、企業側にとっては、問題のある人を誤って採用しないためのリスク回避策だ。

日系企業でレファレンス・チェックをやっているという話は聞いたことがないが、 外資系企業では割と当たり前にやっているらしい。

また人によっては、レファレンス・チェックは絶対必要だという。 応募者の勢いに負けて採用してみたが、実は問題児だったというケースは珍しくないらしい。

レファレンス・チェックの依頼

応募者にとって問題なのは、レファレンス・チェックを誰に頼むかである。

これは応募者が探さなくてはならない。 それも一人ではない。私の場合は、3人推薦者を出してくれと応募企業から指示された。

当然、現職の企業に、他の企業に応募していることなど伝えられない。 基本的には、レファレンス・チェックの推薦者は前職の上司に頼むように言われる。

しかし、前職の上司の連絡先など覚えているものだろうか? 今はSNSが普及しているので、かつてよりそういった情報を探しやすくなっている。 実際、自分もLinkedInで前職の上司に連絡を取ったり、前職の同僚から連絡先を教えてもらったりした。

レファレンス・チェックの弊害

しかし、ここでいくつか問題が発生した。

レファレンス・チェックはコンプライアンス違反になりえる?

実際にレファレンス・チェックのチェック項目を見たわけではないのだが、 仕事内容のかなり詳細なところまで聞かれるらしい。

これがコンプライアンス違反になる可能性があるのだ。

(採用が決まった後で、参考までにレファレンス・チェックの内容を教えてほしいと、応募先企業にお願いしたのだが、断られてしまった。)

私が依頼を出したかつての上司は、以前にもレファレンス・チェックを対応したことがあった。 彼は、あまりに詳細なことを問われるので、人事部にどこまで話していいか確認したそうだ。 当然と言えば当然だが、人事部の回答は「会社が公開していない情報は話すな」だった。 そうなると話せる内容がかなり限られてしまうらしい。

結果、彼がかつてレファレンス・チェックを対応した応募者は採用されなかったとのことだ。

時間が経ち過ぎている問題

仕事の詳細な点まで聞かれることからくるもう一つの問題は、 時間が経ち過ぎていて、推薦者が当時のことを覚えていないという問題だ。

最近では1年ぐらいで転職している人もいなくはないが、 私の場合は、前回の転職から3年が経っていた。 そのため、前職の上司となるとそれ以前に一緒に働いていたことになる。

実際、私がレファレンス・チェックを依頼した元上司は、 一緒に働いたのが一人は5年以上前、もう一人は10年近く前にもなる。

また、マネージャークラスとなると、普段から多くの人と顔を合わせているのもある。 この依頼した二人のうち一人は、コンプライアンス違反の件と記憶が曖昧という理由から、依頼を取り下げることになった。

まあ、自分が他人の記憶に残るような仕事をしてこなかったというのもあるのかもしれないが。。。

退職した人間をポジティブに評価してくれるのか?

外資と比べて日経企業ではまだまだ転職による人材の流動性は低いと思われる。 そのため、そもそも退職していった人間をポジティブに評価してくれるのかという不安がつきまとう。

ポジティブに評価するかはさておき、退職していった人間のために、 ただでさえ忙しいマネージャークラスの人に時間を取らせてしまうのも申し訳ない。

最終的に自分がレファレンス・チェックを依頼したのは、 推薦者自身も転職して、当時の企業を離れている人達だった。

まとめ

私の場合は、運がよく推薦者を二人出すだけで済んだ。 それは、応募先企業の人事に、今回のレファレンス・チェックの件で散々文句を言ったことと、 二人の推薦者の両方がポジティブな評価を出してくれたからだ。

やはり自分の運命を他人に委ねるのは気持ちのいいものではない。 一方の推薦者側も、他人の、ある意味人生を左右する、役回りを引き受けることには気負いしがちだ。 レファレンス・チェックの必要性は分からなくはないが、 特に(自己責任論の強い?)日本ではあまりやってほしくない方法だと思う。

ただ、こういったケースにも対応できるように、 常日頃から全身全霊で仕事に向き合うべきということなのだろう。