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人生を豊かにするために(料理ブログではありません)

"SMART Failure Predicted on SATA~" HDD故障の危機から復旧させるまで

はじめに

突如現れたBIOSの警告画面

先日、PCを起動したら突如見慣れないBIOS画面が表示された。

再起動すれば治るかと思いきや、再び同じ画面が表示される。よく見るとどうもHDDに異常が起こっているようなメッセージが表示されている。 これには一瞬真っ青になった。 愚かにもこれまで継続的なバックアップを取っていなかったし、問題のHDDには写真のデータやこれまで購入した音楽データ、その他消えると困るドキュメント等など重要なデータが保管されている。

結果的に事なきを得たが、この事態からHDDを換装し、自作のマイPCを復旧した顛末をまとめておく。

"SMART Failure Predicted on ~"とは何なのか?

結論から言うと、この"SMART Failure Predicted on ~"が出た時点で、まだHDDは壊れていない。

これはBIOSのヘルスチェック機能で、問題のHDDがヘルスチェックをパスできなかったことを意味する。 そのため、BIOS画面からこの機能をOFFにすれば普通にPCを起動できる。 それでもこの警告が表示された時点で、早急にバックアップを取って、問題の起こったドライブを交換すべきと推奨されている。

なぜか日本語でこの問題に関する記事があまりなく、以下のYoutube動画を参考にした。

youtu.be

ちなみに、大きく表示されている「American Megatrends」はBIOSファームウェアのメーカーである。

ja.wikipedia.org

OSの起動

まず、"SMART Failure Predicted on~"が表示されている画面にもあるようにF1を押して、BIOS設定画面を表示させる。

さらにF7、もしくは画面下のボタンをからAdvancedメニューを開く。

BIOSのAdvancedメニューを開く

画面が表示されたら、「詳細(SATA configuration)」タブを選択。 「詳細」メニューの中から「S.M.A.R.T.状態のチェック」にカーソルを合わせ、ON->OFFに切り替える。

S.M.A.R.T.状態のチェックをOFFにする

あとは、タブから「終了」メニューに遷移し、「変更を保存しリセット(Save & reset)」を選択する。 「S.M.A.R.T.状態のチェック」に変更が入ったことを確認し、PCの再起動を実行する。

変更を保存し、リセットを行う

これで普段と変わらないOS起動画面(私の場合はWindows)が表示される。

Windows画面が正常に起動できるようになった

実際データが失われていたり、アクセスできないような問題は確認できず、正常に使用できた。

とりあえずバックアップを取る

PCは正常に使用できるようになったが、いつ何時HDDが使用不能になるとも限らない。 そこで、まずはバックアップを取ることにした。

OSのシステムスキャンを試す

すぐにでもバックアップを取りたいところだが、まずはOSの機能でシステムスキャンとデータの修復を走らせておく。

まず、コマンドプロンプトを管理者権限で立ち上げて、sfc /scannowを実行する。

sfcコマンドの実行

次にchkdskコマンドを実行する。 今回問題が起こっているのはFドライブなので、f:を指定。 さらにオプションとして、ハードディスクのすべての障害を検出して修復する/fを指定してみた。

chkdskコマンドの実行

  • 「このボリュームを強制的にマウントを解除しますか?」はN(No)、
  • 「次回のシステム再起動時に、このボリュームのチェックをスケジュールしますか?」にはY(Yes)

と答えて、PCを再起動する。

これによってPCの再起動時にHDD上で破損しているファイルの調査と修復が行われる。 試しに再度BIOS画面で「S.M.A.R.T.状態のチェック」を有効にしてみたが、残念ながら"SMART Failure Predicted on SATA~"が変わらず表示された。

外付けHDDにバックアップを取る

やはりHDDの交換は必要そうなので、その前に現在のデータを外付けHDDにバックアップした。 最終的には、PCの復旧にあたってこのバックアップを使うことはなかった。あくまで万が一の時のための予防策だ。

バックアップ方法は、Windowsにデフォルトで搭載されている機能を使った。 AOMEI Backupperなどのフリーもしくは有料ソフトで優秀なものもあるので、恒久的にはそちらを使った方がいいのかもしれない。

Windowsの「設定」を開き、「更新とセキュリティ」のページを表示する。

Windowsの設定UI

左メニューから「ファイルのバックアップ」を選択。 「以前のバックアップをお探しですか?」の文言の下にある「[バックアップと復元]に移動(Windows7)」と書かれたリンクをクリックする。

「更新とセキュリティ」> 「ファイルのバックアップ」

「バックアップの設定」をクリック。

バックアップと復元(Windows7)

どのドライブのデータをバックアップするかを選択できるので、問題が起きているFドライブを選択して「次へ」をクリック。

バックアップの設定

バックアップの実行画面が表示される。ここで「今すぐバックアップを実行」をクリック。

バックアップを開始

完全に一からバックアップを作成するので、ものすごく時間がかかった。 次の日までかかったので、24時ぐらいかかったと思われる。

HDD調達

新しいHDDを購入することにした。

まずは購入前にこれまで使っていたHDDのスペックを確認。 警告画面でも表示されていたが、東芝製DT01ACA200、容量2TB、回転数7200rpmだ。 なんと11年使ったことになる(お疲れ様でした)。

しかし、現在では東芝製で2TBのHDDは販売されておらず、 故障率が低いという噂のWestern Digital(以下WD)のものを購入してみた。

gigazine.net

しかし、なぜかWD製のHDDは在庫が無いらしく、 Amazonで購入しても手元に届くのは10月中旬、TSUKUMO PCのオンラインストアでも在庫切れになっていた。

2TBの故障率ならそれほど差は無いだろうと予想して、結局Seagate製のものを購入。 実際、最新の調査ではSeagate製HDDの故障率が最も低かったらしい(4TB以上の大容量HDDの話だが)。

gigazine.net

購入先もAmazonからTSUKUMO PCに切り替えた。 理由はTSUKUMOの場合、PCとパーツの相性が悪かったときの返品保証がつけられるため。 HDDでそのような問題が起こるとは考えづらいが、以前にグラボで痛い目に合っていたので保証込みで購入した。

Seagate製HDDを購入

HDDの交換

ここまできてやっとHDDを交換できる。

既に書いたように新しいHDDにデータを移行するのに、外付けHDDに取ったバックアップを使う必要はない。 古いHDDは稼働しているので、新しいHDDに直接データをコピーすればいい。

新しいHDDを接続

新しいHDDを接続してPCに認識させる。 電源はいくらでも口があるが、SATAケーブルが無かったため、BDドライブのケーブルを拝借。

新しいHDDをPCに接続

PCを起動して、「ディスク管理」アプリを起動。 接続した新HDDが認識されているのが分かる。

写真を撮り忘れたが、PC起動時にHDDの初期化方法を問われる。 その際、パーティションスタイルとしてGPTかMBRのどちらかを選ばなくてはならない。 GPTの方が新しいスタイルなのと2TB以上の場合はGPTでなければならないという制約もあり、今後容量を増やす可能性も考慮してGPTを選択した。

パーティションスタイルはGPTを選択

ボリュームの割り当てとパーティションを設定していく。

「ディスク管理」で接続したHDDが認識されていることを確認

ボリュームサイズはデフォルトでOK。

ボリュームサイズの指定

古いHDDがFを使っているので、とりあえずGをドライブ文字として割り当てる。

ドライブ文字の指定

フォーマットはNTFSで。

パーティションのフォーマット方法を指定

古いHDDからデータをコピー

データをコピーするのに考慮しなくてはならない点がパーティションスタイルだ。

今回新しいHDDはGPTで初期化したが、古いHDDはMBRを使用していた。 そのため、データのコピーの際には、パーティションスタイルの変換をおこなわなくてはならない。

そこでAOMEI Backupperというフリーソフトを利用することにした。 バックアップ関連のソフトでは有名で有料版もあるが、無料版でも機能が充実している。 今回のパーティションスタイルを変換してのデータコピーにも対応していた。

www.aomei.jp

AOMEI Backupperをインストールして起動して、左メニューから「クローン」を選択。

AOMEI Backupperを起動

今回はHDDのみのクローンなので、「ディスククローン」か「パーティションクローン」から選ぶことになる。 パーティションの違いのためか、「ディスククローン」の画面では新しいHDDが認識されなかった。 「パーティションクローン」では新しいHDDが表示されたので、こちらでコピーを進めることにした。

ソースパーティション(コピー元)とターゲットパーティション(コピー先)を選択。

ソースパーティションの選択

設定内容を確認する。これを間違えるとデータが消えてしまうので慎重を期す。

クローン設定の確認

あとは実行するだけ。ここまで非常に簡単だが、ここから処理が完了するまでは6~7時間かかった。

クローンの実行

HDD換装

HDDのクローンが完了したら、PCの電源を落として古いHDDを取り外し、そこに新しいHDDを付け替える。

地味に手がかかったのが、HDDのサイズ感が違うこと。

古いHDD、ずっしり重くて厚みがある

10年以上前のHDDと比べ、新しいものは軽量化され、厚みが薄くなり、やや長細くなっているようだった。 そのため、古いHDDと同じ位置に取り付けると、SATAのコネクタ部分が後ろ側に飛び出してしまい、PCケースのサイドパネルが閉まらなくなってしまった。

取付位置を間違えるとSATAのコネクタが飛び出してしまう

幸い、ドライブベイはHDDの取り付け位置を調整できるようになっているので、少し前側にずらすことで無事に組み上げることができた。

ただし、これで終わりではない。 PCを起動すると、デスクトップに表示されていたアプリが全て消えてしまっていた。

旧HDDが無くなったので、Fドライブが消えている

古いHDDが無くなり、Fドライブが消えてしまったためだ。 Windowsが参照するドキュメントやデスクトップ、ピクチャーなどのフォルダーは全てFドライブに割り当ててあった。

そこで、Gドライブが割り当てられている新HDDをFドライブに変更する必要がある。 Windowsの「ディスク管理」画面から変更可能だ。

ドライブ文字の変更(1)

ドライブ文字の変更(2)

これで完全に元通りになった。 BIOS画面から「S.M.A.R.T.状態のチェック」を有効にしても、問題の警告は表示されなくなった。

今後のバックアップを真面目に検討する

これまでバックアップをおざなりにしていたが、流石に真面目に検討しなくてはと思っている。

候補として以下のプランを考えた。

  • RAID1構成でHDDを組む
  • NASにデータをバックアップする
  • 外付けHDDに定期的バックアップ
  • バックアップ用の内蔵HDDを追加

まず、思いついたのはRAIDを組むことだが、RAIDはあくまで冗長構成にして耐久性を上げることが目的だ。 これはバックアップとは言えない。

次に考えたのはNASにデータを保存する方法だが、現在の使用量で電源を入れっぱなしのNASを自宅で稼働させる気にはまだならない。

外付けHDDにバックアップを取り続ける案だが、PCに外付けHDDが生えて不格好になるのが気になる。 USB端子を外付けHDDに占有されてしまうのも嫌だし、そこまでスペースないので外に飛び出しているHDDの置き場所を気にしなくてはならないのもストレスだ。

となると最後のバックアップ用の内蔵HDDの追加が一番良いような気がしてきた。 回転数を落とした5400rpmのものをバックアップ用に追加するのが良さそうだ。 回転数が低い方が耐久性が高く、バックアップには向いていると言われている。 近いうちにやってみよう。