はじめに
ずいぶん長くかかってしまったが、 ずっと目標としていたTOEIC 900点を達成することができました!
いや~、本当に長かった(´;ω;`)
900点を目指すと決めてから2年かかってしまったので、 自分のやり方はそれほど効率的なものではなかったのかもしれません。
しかし、成し遂げたことは事実なので、 これまでの勉強のやり方や工夫を振り返りたいと思います。
以前の自分
実をいうと、学生の頃は英語は得意科目でした。
うちの母親がいわゆる勉強ママで、小学生の頃から英語教室に通わせられていました。 そのおかげもあって、単語力や文法力は自信がありました。
しかし、それでもリスニングだけはとにかく苦手で、 今思えば、その英語教室でもっと真面目にリスニングに取り組んでおけばと思うばかりです。
それまでのTOEICの最高記録は810点(新形式になる前)でしたが、 そこからどうやっても英語力を伸ばすことができなくなっていました。
ですので、今回の記事については、 短期間の勉強でTOEIC 900点目指す、一攫千金的なものではなく、 あと一歩900点に届かない人のお役に立てれば幸いです。
TOEIC 900点達成に向けた勉強法
後述しますが、900点達成に向けて、これまでいろいろ試行錯誤してきました。
ですが、まずは結論から。
いろいろ試した中で、実際に効果があったと思うのは以下です。
上記の勉強方法を中心に説明していきたいと思います。
タイムマネージメント: 時間内で問題を解ききる練習
「時間がない」
TOEICの課題として一番に挙げられるポイントです。
ありきたりですが、 これが一番重要だったと思います。 新形式の問題になって、タイムマネージメントはより一層重要になりました。
Readingの試験時間は75分ですが、 普段の勉強で毎回75分のトライアルをして、75分間で解ききる感覚を身につけるのは難しいです。 長すぎるんですね。
そこで、以下のように時間配分します。
問題番号 | 時間配分 |
---|---|
101 ~ 130 (Part5) | 10分 |
131 ~ 146 (Part6) | 10分 |
147 ~ 160 (Part7) | 10分 |
161 ~ 180 (Part7) | 20分 |
181 ~ 200 (Part7) | 20分 |
トータル70分で解ききるプランです。 これと併せて、後述する速読トレーニングも必要になります。
パートごとに時間感覚を身につける
やってみると分かりますが、 最初のPart5、Part6をいかに時間通りに終わらせるかで、 最後まで解ききれるかが決まってきます。
時間を分ける意味は他にもあります。
普段の生活で学業や仕事をしながら、TOEIC対策をするのはなかなか難しいです。
でも10分程度なら、時間を取れると思いませんか?
実際、自分は昼食が終わった後のすき間時間などに10分のトライアルをやっていました。
最後の長文問題に必要なスピード感覚を身につける
もう一つ、タイムマネージメントで大事なのが、Part7の終盤、三段構成の長文問題です。
上の表だと、最後の20分のパートになります。
時間が足りない中で、最後にここに差し掛かると絶望感に陥ります。
しかし、実際、落ち着いて臨めば、そこまでの速読力が必要ではないことが分かります。
自分の場合は、一度試した問題も、全問正解するまで繰り返し、 どれぐらいのスピードで解けば最後までいけるかを確かめました。
この対策のおかげで、本番でも残り5分を残して完答することができました。
TOEICの問題パターンを把握する
TOEICの問題の質問文はある程度パターンが決まっています。 そのため、質問文を馬鹿正直に読むのではなく、パターンに一致するものがきたら、 即座に反応できるように準備しておくとよいです。
Listening(L)/Reading(R) | 質問パターン | 例 |
---|---|---|
L/R | 登場人物の発言の意図を聞く | At 2:57, what does Mr. XXX imply when he writes(or said), ~ ? |
L | 会話が行われている場所を聞く | Where most likely did this conversation happen? |
L | 音声の次に起こることを聞く | What most likely happen after this conversation? |
R | 文章全体の目的を聞く | Why most likely did Ms. XXX write the e-mail? |
正直、英語力とは関係なく、あくまでTOEICテストをクリアするためのテクニックにはなりますが、 時間が無い中で全問を解ききるには必要になります。
リスニングでも、音声が流れる前に問題を読んでおく必要があります。 パターンを把握しておくことで、問われている内容を素早く把握するのに役立ちます。
あくまで個人的な意見ですが、 TOEICの900点越え達成者や満点ホルダーの方達が、 「とにかく問題集で多く問題をこなすこと」を強調しているのはこのためだと思われます。
教材としては、ジャパンタイムズ出版の新形式精選問題集を使いました。 公式問題集よりも掲載問題数が多いことと、回答のアドバイスがまさにここで言う質問パターンを突いた内容になっているのでお勧めです。
速読トレーニング
短時間で問題を解くためには、どうしても速読力が必要になってきます。
速読のトレーニングについては、主に2つのサービスを活用しました。
Polyglots(現在はレシピー)
このアプリの面白いところは、英語の読む速度に合わせて文章が自動スクロールさせる機能です。
速度の単位はWPM(Words Per Minute)です。
ネイティブスピーカーが読むスピードが300~500WPM程度なのですが、 実際やってみると全然ついていけないことが分かります。 単純に、ネイティブの読むスピードを疑似体験できるのが面白いです。
TOEIC900点に必要なスピードは150~200WPMと言われています。 私の場合は170~200WPMに調整してトレーニングしていました。
The Cramm
こちらのサービスは、登録すると、毎日自分のメールアドレスに英語のニュースを配信してくれるというものです。
一読してしまうと、二度目以降ではどうしても読んだときの感覚が違ってしまいます。 The Crammのおかげで、初見の英文に頻繁に触れられるという点では大いに役立ちました。
非ネイティブが音声を聞いて理解するまでのプロセスの理解
先にも書いたように、自分はリスニングがどうにも苦手で、 TOEICのリスニング対策にはずっと頭を悩ませてきました。
TOEIC高得点保持者や英語ネイティブの人たちにアドバイスを求めたこともありました。 しかし、返ってくる答えはだいたい同じで、「慣れ」と"Listen carefully"でした。
そんな自分が英語のリスニングを克服できたのは、 完全に我流ですが、非ネイティブ・スピーカーの英語の聞き方を理解したからです。
結論からいきましょう!
英語の非ネイティブ・スピーカーが英語を聞き取るプロセスは以下の4ステップです。
- 音声を聞く (Listen)
- 聞いた内容を頭の中で保持、反芻する (Keep)
- 聞いた内容を文字に変換する (Transcript)
- 理解する (Understand)
順を追って説明していきます。
まず、私たち日本人が日本語の音声を聞くところをイメージしてみます。
私たちは「えき」という"音声"を聞けば、即座に「駅」と漢字が思い浮かびます。 母国語として日本語に慣れ親しんだ私たちは、"音声"を聞くとほぼ同時に「内容」すなはち「意味」を理解できるということです。 つまり、「音声」から「意味」の理解までにかかるタイムラグはほぼゼロです。
しかし、これと同じ感覚で英語を聞いてしまうと、聞いた内容を理解するまでに至りません。
英語の非ネイティブ・スピーカーである私たち、 少なくとも自分は、英語の「音声」から「意味」の理解までに無意識のレベルでどうしても時間がかかってしまいます。 日本語のように一足飛びに「音声」から「意味」の理解までたどり着けないのです。
実際に理解するには、 頭の中で、その音声を文字に変換して、 英文として捉えることで、初めて文として理解できるようになります。 人によっては、さらに和訳も必要でしょう。
これをトレーニングする方法で、最もメジャーなのはディクテーションでしょう。
私自身もディクテーションにはチャレンジしてみましたが、 音声が流れているところに、自分の声が重なってしまって、 どうにも上手くできませんでした。 ディクテーションだと、聞いた内容を即声に出さなければならないので、 しゃべる方に気を取られて肝心の理解のところが抜けてしまいます。
このリスニング・プロセスを最も上手くトレーニングできる教材があります。 それはTOEICの Part2 の問題です。
Part3、4のような長い音声でいきなりは難しいですが、 Part2の、ほぼ1回の発話に等しい、短い音声なら記憶に留めるのは不可能ではないです。
- Part2の問題文だけ聞いて
- 聞いた内容を頭の中で反芻する
- 聞いた内容を文字としてイメージする
- ペンで書きだす(つまりは文字に変換する)
こういった練習をすることで、聞いた内容を記憶に留める訓練ができると思います。
また、一文に相当する音声を記憶に留めて、理解するのには、もう一つ理由があります。
それは、英語は日本語と違って、一語一語をはっきり発音する言語ではないということです。
私がTOEIC対策をする中で、聞き取れない、もしくは、聞き間違えてしまったものに以下のようなフレーズがあります。
聞き間違えた単語/フレーズ | 聞き間違えた内容 |
---|---|
here | ヒーと言っているように聞こえた |
advertise | appetize と聞き間違えた |
nearest | newestと聞き間違えた |
delay | レイという発音部分だけ聞いて、lateと聞き間違えた |
closed | close toと聞き間違えた |
find | fineと聞き間違えた |
clean out | clean upと聞き間違えた |
brought | brood と聞き間違えた |
expanding | expendingと聞き間違えた |
enter | winterと聞き間違えた |
readership | leadershipと聞き間違えた |
The mine is later | The man is later に聞こえた |
I'll ask her | ア・ラァー・ス・カ と言っているように聞こえた(※) |
(※ 最後の「ア・ラァー・ス・カ (アイル・アスク・ハー)」はTOEICの公式の参考書で出てきた音声です。 こんなのどうやって聞き取ればいいのか途方にくれました。)
これらは単語そのものの音声ではなく、文脈から意味を判断する必要があります。
そのためにも、一文単位で記憶に留めて、音声から英文に脳内変換して理解するというプロセスを意識するのが、 大いに役立ちました。
Audipo
リスニングのトレーニングのために、 自分は古くなったスマホを英語専用のオーディオプレーヤーとして使っていました。
その際、英語音声の再生に使っていたのがAudipoです。
Androidアプリで、倍速再生に対応しているのが、これぐらいしかなかったというのもあります。 一度、挑戦した問題は、答えを覚えていることもあるので、1.2~1.5倍程度の速さにしてトレーニングしていました。
海外出張
これは対策ではないですが、 海外出張に活かせてもらえたことで、 多少英語耳になったのかなとは思っています。
現地の方とミーティングをして、 仕事なので、必死で話されている内容を聞き取ろうと集中しました。
時には、録音許可を得てミーティングの音声を録音させてもらって、 ホテルに帰った後で何度も聞き返しました。
この出張の後、(半分狙って)TOEICを受けました。 正直、今回の得点にはそういうラッキーも貢献しています。
これまでの試行錯誤
上記のリスニングのプロセスを意識するようになったのは、 一度、読んで内容を理解した英語音声を聞いても、初聞のように意味不明には聞こえなかったからです。
これ以外にもTOEICの問題を解きながら、 自分なりに気づいた点を挙げたり、アプローチを考えて試してきました。
# | 施策 | 効果 | 結果 |
---|---|---|---|
#1 | 問題文見る前に、選択肢から先に見る | × | 問題文をちゃんと理解しないと解けない問題が多く、逆に点が下がる結果となった。 |
#2 | 長文問題で、段落の最初だけ読んで、可能な限り読み飛ばす | × | #1と同じ理由でダメ。 |
#3 | リスニングで人名が出てきた際は、その人がどういう人物か注意して聞く | 〇 | 固有名詞が出ると、それだけで聞き取れなくなることもあるので注意が必要。 |
#4 | リーディング問題で、価格表や見積書が出てきた場合は、表や個々の項目より、付帯説明の方に注意する | 〇 | |
#5 | ある程度読み飛ばして、問いに関係する部分だけ精読する | △ | 本番中はそこまで意識が回らない。 |
#6 | 分からない問題は、深追いせず一番それらしいもので埋めてしまう | 〇 | 時間が無い中である程度の適当さは有効。 |
#7 | 穴埋め問題で、単語や熟語が分からない場合は、分かっている単語から意味が通るものを検討する | 〇 | 同上、ある程度の適当さは必要。 |
#8 | 類似した選択肢がある場合、文章全体の概要にマッチする方を選ぶ | △ | 文全体の趣旨を意識する。 |
#9 | 長文を読む際は、いったん鉛筆を置いてみる | 〇 | 結局、鉛筆を持ったままでも集中して読めるようにはなった。 |
#10 | リスニングで、問題文を聞きながら、選択肢にも目を配る | × | 簡単な選択肢には有効だが、集中力を欠く恐れもあり。 |
ここに書いた方法が万人に有効だとは言いません。 リスニングの方法にしても、ネイティブスピーカーと同様に、聞いた音声をストレートに意味に結び付けられるに越したことはありません。
ですので、一番大事なのは、勉強していく中で気づいた点を挙げていき、 自分なりのメソッドを編み出していくことだと思います。
今後
こんなことを書くと嫌味に聞こえるかもしれないですが、 この時の、第297回TOEIC L&R試験が終わった際には、達成感のようなものはあまり無かったです。
5分余裕をもって終えられたというのもあったのですが、 終わった後に間違えた箇所に気づいてしまったんですよね。
vendorとmanufacturerとmarketが出てくる問題で、 単語としてのそれらの意味は分かっていたのですが、 長文を読みながら、その状況や関連性(manufacturerが直接製品を売るのではなく、いったんvendorに納品して初めて市場に出るという流れ)をイメージできていなかったです。
つまり、TOEIC 900点を達成しても、まだまだ課題はあるということです。
学生に混じってテストを受けるのも気まずいので、 今後はTOEIC S&Wに挑戦したいと思います。