LIFE Cook

人生を豊かにするために(料理ブログではありません)

2021年度読んだ本

はじめに

しばらく書評は書いてませんでしたが、 本年度を振り返るという意味も込めて、読んだ本についてまとめて記事を書こうと思います。

個別の書評については、読書メーターに短い感想を書くようにしています。

killerclock0316 - 読書メーター

技術関連

2020年から2021年にかけて、技術について学びなおそうと考え、選んだ書籍です。 主に、コンピューターサイエンス、統計、機械学習アルゴリズムを中心に勉強しました。 自分がエンジニアということもあり、理論からよりは実装から入ることを念頭にしています。

ソフトウェアエンジニアでありながら、情報工学をちゃんと学んでいないことは、仕事をする上でのちょっとしたコンプレックスでした。 コンピュータ・サイエンスを学びなおしたいという思いから辿り着いたのが、Hisa Ando著の『コンピュータアーキテクチャー技術入門』でした。

この本から学んだことは、コンピュータサイエンスとは、 「如何に少ないリソース、すなわち、少ないメモリー、少ない計算時間、少ない消費電力、そして少ないお金で、目的を達成するかを追い求める科学」だということです。 本書ではどちらかというとハードウェア寄りの内容が多いのですが、 コンピュータの効率的な処理を実現するための数々の技術が紹介されています。

カバーしている範囲が広いので読むのが大変でしたが、 GPUが実現するグラフィックの描画やデータセンターのサーバーの冷却システムなど、 基礎だけにとどまらないところも読みごたえがあります。

機械学習の一通りの理論と実装スキルを身に着けたいとずっと思っていて、 やっと手を付けられたのが『現場で使える!Tensorflow開発入門 Kerasによる深層学習モデル構築手法』でした。

Tensorflowの公式チュートリアルをやりながら、参考に読んでいたのも良かったと思います。 本書では、Tensorflowを用いた機械学習の基礎のみならず、 応用編ではCAE(Convolutional Autoencoder)に着目し、 それを応用した「ノイズ除去」、「自動着色」、「超解像」、「画風変換」、「GAN」の一連の実装例を紹介しています。 一つの技術を体系的に学べるので、より専門性を高められる一冊です。

機械学習は技術分野としてはホットですが、 それ以上に仕事で役立ったのがPandas, Numpy, MatplotlibといったPythonの統計解析ツールの知識です。 そのほとんどは、この『Pythonデータサイエンス・ハンドブック』で学びました。

プログラミング言語としても、Pythonはできることが多いので、 本書の実装例に倣って手を動かして身に着けるのが最善です。 データ分析の実例が豊富にあるので、それらを通して学ぶことができます。 個人的には、Pandas Dataframeのテーブルの結合について多くページを割いてくれているのが良かったです。 SQLで同じみの手法なので、データ分析力を向上できたと思います。

他と毛色が異なりますが、 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』は、今後のキャリアを考える上での自分の指標となる本になりました。

実際に日本企業の管理職がこの本に書かれているような働き方をしているかは疑問ですが、マネージャーとはどのような仕事かを垣間見ることができます。 特に印象的だったのが、著者がコーディング能力を重視している点です。 マネージャーだとしても、常に自分の技術力が落ちないように部下のコードには目を通すべしとのことでした。 自分もキャリアが長くなるにつれてマネージメント業務が多くなってきましたが、 他のマネジメントスキルは別としても、ここに関してはできているので、自分の強みにしていきたいです。

ファイナンス関連

ファイナンス関連では、何といっても注目すべきは米国株とFIREでした。 去年読んだ本の内容を自分でも実践することで、自分なりの資産形成のプランも軌道に乗り始めたかなと思います。

インデックス投資で資産形成を目指す書籍は以前からあって、自分も読んだことはありました。 しかしそれに加えて、経済的自由を手にして早期リタイアするという、より具体的な目標が示されたこと、 資産家や起業家でない一般人でそれを成し遂げた人達が出てきたことがFIREという概念が広まったポイントだったと推測します。

『FIRE 最強の早期リタイア術』の著者がFIREを成し遂げられたのは

  • 最も経済成長と株式市場が整備されたアメリカに住んでいたからこそ、米国株を真っ先に購入できた
  • ITバブル崩壊リーマン・ショックの暴落からの株価上昇によるプレミアムを手にできた

という要因があったとは思います。 この点で、日本では難しいという話も耳にします。 しかし、この規模の暴落局面は今後も起こる可能性は十分あります。 (既に、コロナショックやウクライナショックがありました。) あとは、如何に安定的に株式から不労所得を取得するかという考え方を今後参考にしていければと思います。

そういう意味では、資産形成の戦略をいろいろ試している、たぱぞうさんの著書『米国株で始める100万円からのセミリタイア投資術』が参考になります。 教科書通りのインデックス投資に絞れというだけではなく、 インデックス投資を主軸に置きつつ、 「個別株への投資を楽しむ」、「不動産投資に挑戦する」、「太陽光発電投資を検討」といった資産形成を模索していくスタイルは勉強になります。 不動産取引時の具体的な契約内容も公表されていて、とても参考になりました。

米国株にフォーカスした書籍では『資産を増やす 米国株投資入門』が参考になりました。 「世界経済に投資する」のではなく、米国株一択を勧める内容は時勢を捉えていると思います。 著者は外資系証券会社の勤務経験がある方で、それだけあって、日本ではあまり馴染みのない個別株銘柄やETFが紹介されています。

最後に選んだのが橘令氏の『臆病者の株入門』です。 以前に著者の小説も読んだことがありましたが、 投資入門というより、投資やお金の考え方について説いた内容になっています。 「株式投資は将来の利益を予想するゲーム」「株式投資美人投票」「誰かが得をすれば、誰かが損をする」といった、 投資をする上で意識しておかないといけないポイントを歯に衣着せぬ書き方で説いています。 著者自身はもう投資をしていないとのことで、「投資をしない自由」をうたっており、 人生におけるお金の価値を考えさせてくれます。

SF

以前はミステリーをよく読んでいたのですが、最近はSFを読むようになりました。 テクノロジーに関わる仕事をしていることと、 やはりスペースXを筆頭に、民間企業が宇宙に進出するようになったことに感化されてのことですが、 実際、往年の名作なども読んでみると非常に面白いです。

『火星の人』は映画『オデッセイ』の原作で有名ですが、実は読んだのは2回目です。 本書の内容は、火星に独り取り残された主人公の音声ログなのですが、 厳しい環境でも前向きに生きる姿やユーモアに、読んでいて元気づけられます。 一方で、主人公を救出しようとNASA職員たちもあの手この手で奮闘するのですが、 NASA職員のオタクっぷりが描写されていて、彼らの登場する場面も読んでいて飽きさせないです。

『星を継ぐもの』はSFを読みだすきっかけになった一冊です。 派手な戦闘などなく、淡々と論理と探求を積み上げていくストーリーとなっており、 こんなSFがあるのか!とSFに対する自分の認識を改めさせられました。 続編もあるらしいので、いずれは手を伸ばしていきたいです。

今、SF小説で最も注目されているのは、『三体』ではないでしょうか。 やっと第二部の『三体II』まで読み終わりました。 第一部はホラーかミステリーかと思いきや、実はSFでしたというどんでん返しに驚かされました。 また、「量子物理学の技術発展が阻害されれば、人類の技術の進歩が止まる」という仮説が、 大胆かつ納得感があったことも印象深かったです。

第二部では時代が現代から未来にまで及びますが、 第一部に劣らないストーリーと、最後に全ての伏線が回収されるところは圧巻でした。 タイトルにある「黒暗森林」という理論のシンプルさにも感心させられました。

実は、過去のSF作品のオマージュがいくつかちりばめられていたとのこと。 今後そういった名作を読んでいく楽しみができました。

最後に

技術に関しては、アルゴリズムについての本も読んでいたのですが、 21年度中には読み終わりませんでした。 そこを続けるとともに、今後はインフラ周りの知識や数学の知識も身に着けていきたいです。

投資関連に関しては、入門書を読むのはやめて、 企業分析や経済動向を自分なりに捉えられるようにしていきたいです。

よく言う話ですが、 やはり本を読んだだけでは物足りなくて、 一年を振り返って実践することの重要さをひしひしと感じました。 2022年はアウトプットに重きをおいた活動ができればと思います。